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気質からのアプローチ
 
生まれ持った「気質」は個性の原点にしっかりと根付いており、気質の違いは、思考や感情・行動に現れています。パワフルなチーム・マネージメントを目指すリーダーにとって、2000年の歴史をもつ「気質」からのアプローチは古くて新しい、ストレスの少ない手法を教えてくれます。 《カタログ(PDF)をダウンロード》

■気質について

気質と言うと一般的には「江戸っ子気質」とか「職人気質」という言葉をを思い浮かべます。通じるところはあるのですが、ここでいう気質は少し違います。 気質(テンペラメント)は、紀元前4世紀頃、ヒポクラテスが「体液論」として発想し、後にガレノスが医学の基礎として発展させた概念です。近年では「シュタイナー教育」として知られるR.シュタイナーが、独自の教育論として気質教育を展開した事でも知られています。(私も幼児教育を通じて「気質」と出会い、、人材育成における「気質」の有用性を実感しました。) その気質の概念をシンプルな類型と身近な特性に整理し、チームビルディングに応用したものが、この「気質からのアプローチ」です。五感と運動感覚が刺激され、誰もが深く共感できるメソッドを組み立てました。古くて新しい「気質」の概念は、チーム・パフォーマンスを最大限に高めたいリーダーにとって、大きな武器になると確信します。

■四大気質

気質は、多血質・胆汁質・黒胆汁質(憂鬱質)・粘液質の四つに大別されます。殆どの人は中心となる基本気質をもち、それ以外にも、いくつかの気質を少しづつ合わせ持っています。その組み合わせとバランスによって思考や行動傾向に違いが現れます。

■マトリックスで考えてみる

四大気質は、生まれながらに持っている「感情や行動(表現)の傾向」と「思考や学習(吸収)の傾向」とを、各々縦軸・横軸にとりマトリックスで考えると解り易いです。素早い動きや行動の目立つ方は表現傾向が強く、会話もテンポよく進みます。逆に、反応が不明確で会話も聞いているのか・解っているのか、よく伝わってこない方もいます。これが、縦軸の上下です。 次に、話した事・伝えた事を十分に理解し、自身の考えや意見にまで発展させる事ができる方と、あまり深く考えず取り敢えず判った風にしている方がいます。周囲から強い意見が出されるとすぐになびきます。当然質問も軽い内容にとどまります。この思考・学習の傾向を横軸にとります。すると四つの気質が見えてきます。

■四つの気質(概要)

  1. 多血質(風の気質) 陽気で明るく、反応も速く軽快です。自由な発想でアイデアも豊富ですが、物事をあまり深く考えませんので、周囲に流され易く、考えがコロコロ変わる傾向があります。
  2. 胆汁質(火の気質) 活発で反応も速く、考えも明確です。主張が激しく妥協を許しません。強いリーダーシップを発揮しますが、頻繁に感情が爆発します。ただ後に残しませんので、時間が経つとケロリとしています。
  3. 黒胆汁質/憂鬱質(地の気質) 反応はゆっくりですが、思慮深く、周囲をじっと観察し分析します。自分の考えに自信が持てず、控え目めですが、堅実で痛みの判る優しさがあります。コツコツと確実に物事をこなします。
  4. 粘液質(水の気質) 反応もゆっくりで、目立った表現もしません。にこやかで物事に動じず安定感があります。一見ボーとして見えますが、その気になりさえすれば、粘り強く物事に取り組む大器晩成型です。

■気質の理解と人材育成

大人の場合、幼少期に見られた基本気質は変わりませんが、場面に合わせて持ち合わせた他の気質が現れます。その傾向を互いに理解し合う事で、共に場面対応の修正が可能になります。 そして、互いの気質を理解し合い認め合えた時に、各自のもつ潜在能力が最大限に発揮されます。 顧客対応から社内のコミュニケーション・家庭生活まで、人と向き合う時に気質に配慮できると見違えるように関係が好転します。勿論、クレーム対応などは顕著に効果が表れます。管理職の方は勿論、チームのリーダー職の方にもお勧めします。

■気質セミナー導入にあたって

一見ゲーム的要素を感じるテーマですが、個性の根幹に触れる繊細な課題です。参加者の過去や生い立ちまで振り返って頂く事もあります。近年、医療関係の現場スタッフ向けに実施する事の増えたユニークなセミナーです。リーダー職や人事・教育担当者、またクレーム処理などの担当スタッフ向けに導入されると比較的早く成果が期待できます。

Pkenのブログ

1.二千年も前からあった概念「気質」

ヒポクラテスと気質

紀元前4世紀頃古代ギリシャでは、既に「四大体液論」としてヒポクラテスがまとめている様です。血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁のバランスが崩れると病気になるとしたそうです。
アリストテレスも「熱気」「冷気」「湿気」「乾気」からなる「四大元素説」を唱えていて、これに重ねて当時は病気の治療を行ったとか。

ガレノスと気質

紀元2世紀頃ローマ帝国時代になると、ギリシャの医学者ガレノスがヒポクラテスの体液論を発展させ、医学の基礎を築いたとのこと。その理論と医学の基礎は、なんとルネサンス期まで続いたそうです。

ルドルフ・シュタイナーと気質

19世紀から20世紀にかけて、シュタイナー教育の開祖であるR.シュタイナーが気質の概念を教育論へと発展させた。日本でもシュタイナー学校が開校し話題になったのを覚えています。他にも哲学や神秘思想の分野で功績の大きい方で、私も幼児教育を通して「気質」の概念に出会いました。

ゲーテとシラーのジョークにお付き合い

むかしむかし、あるところで、ゲーテとシラーが「気質と職業」について談義したそうです。外側の青文字がその結果だとか・・・・・。
そこにヒポクラテスやアリストテレスらの体液論とシュターナーの教育論を重ねてみました。(ジョークにお付き合い)

(参考までに)
ニールセンの交響曲「四つの気質」(ビバルディの「四季」でも良い)の流る中、カクテル片手にこれを眺めていると、いろんな人がいてこの世は面白いと感じます。生きてるだけで丸儲け!

強く叱ると潰れる??

「多血質」の方を強く注意すると

強く叱られると、おどおどとし謝ります。でも考えのない分、時が過ぎれば元通りです。見えないところで仲間に泣き言を言い、周囲から同情をかい、励ましを得るための行動に移ります。特に人前で注意されたり、恥をかかされるのは本人の一番嫌う場面です。人気者志向ですからね。逆に人前で褒められると調子にのってガンガン仕事を進めます。叱るより、褒めて育てる方針が大切です。日本人に一番多い傾向ですのでやはり「人は褒めて育てる」これが一番です。


「胆汁質」の方を強く注意すると

意に反した事で叱られると、攻撃的になり反論をします。決して自身の考え変えたりはしません。でも、時間をおいて振り返り、事実をフィードバックすると非常に客観的に見直せるタイプです。考えを広げるための選択肢やケーススタディーを周到に準備しておくと、しっかり考え直します。またリーダーになると他チームとの競争には俄然馬力を発揮します。先ず相手の意志と考えを確認し、目的・目標・手法などをしっかり理解させることが重要です。任せられるのは大好きです。


「黒胆汁(憂鬱)質」の方を強く注意すると

強く叱ると潰れます。自分の考えは持っていますが、半分も言わない傾向があります。感情的であったり攻撃的なものには向かってゆけない、自信喪失状態の気質です。ゆっくり時間をかけて、データやレポートを元にして話す事が大切です。PDCAはしっかり回します。「頑張れ」は禁物です。声をかけるなら「大丈夫!」の方がいいですね。


「粘液質」の方を強く注意すると

人前であろうとなかろうと強く叱ってもあまり動じません。不動の大器とでも言うのか、その場は深刻な表情で正面から向き合いますが、実はケロリとしています。時には目が覚めるような強い刺激を与えた方がエンジンがかかります。とは言え、度が過ぎると硬い壁を作り閉じこもります。これは気質以前の問題で身を守る本能です。

努力型の大器ですので、大き目の目標に向けて、身近な課題から任せると、時間はかかりますが必ずやってのけます。適度な刺激と適切な役割分担が目覚めを促します。


■アドバイス

このケースの前提になる事ですが、注意する側に悪意があると、どんな場合にも困った結果を招きます。指導や注意は人を育てるための「善意」、いや「大きな愛情」のこもった行為であって欲しいです。

気質の混合と対立

混合

大人の場合、いくつかの気質が混ざり合っています。基本気質に隣り合った気質との混合が多いようです。
対極にある正反対の気質は対立関係ですので混ざり合うのではなく、場面に合わせたり時間をおいて現れる様です。
幼児期には基本気質が顕著に表れますが、成長過程でいろいろな経験をし、持ち合わせた他の気質が目覚めます。友情や恋、失恋などもそうですし、意見の違いから親友と大激論をかわす事などもそれにあたるでしょう。はじめは戸惑いながらの対応ですが、徐々に周囲と調和するために持ち合わせた他の気質を目覚めさせます。これを繰り返しながら持ち合わせた気質に目覚めてゆき、いつしか無意識になります。幼少期の同窓会などで何年(何十年)ぶりに再会すると昔とは全くの別人になっている友人に出会う事もあります。

対立

対立する気質とは、多血質と憂鬱質(黒胆汁質)、胆汁質と粘液質の事で、正反対の対立関係にある気質です。共存する事は珍しいと言われていますが、稀に持ち合わせた方がいる様です。ナポレオンもその内の一人だそうで、闘争心が強く攻撃的な胆汁質でありながら、戦いの前線でもぐっすり熟睡した(粘液質の顕著な傾向)とか・・・